「深紅の煙」


いつか巡り逢う其の日まで 今はただ静かにさよならを



悪戯に与えられすぎた幸せ 僕らの軌跡の後には無口な墓標


穴だらけの傷んだ身体 いっそ清々しい程の微笑みで


暖かすぎる残酷な朝日の元 君と共に


今はただ 静かにさよなら



紅と黒の煙に取り巻かれて生きてた


自分を少しずつ殺めていくことでしか
 

可哀想な小鳥の羽を千切ることでしか


生きられはしなかったのに


降り注いだ幸せ 柔らかな風の中


傍にいてくれた君が お前が 音も立てないままに


君を お前を  そして僕を


殺していった



柔らかな風を 深紅の煙が一掃した


又 何も無くなった 


死んだ僕を元にして 全てを失くした痛みと 哀しみと 憎しみが


虚っぽの「僕」を構成していくんだ


何も無いのに ただ罪と哀しみだけを繰り返す「僕」を



ほら 黒煙が渦巻いて嗤ってる 


誰も僕を許しやしないと繰り返し 嗤ってる


知ってるよ そんなこと


だって僕の手から 顔から 深紅の煙が消えないんだ



悪戯に与えられすぎた幸せ 僕らの軌跡の後には無口な墓標


穴だらけの傷んだ身体 いっそ清々しい程の微笑みで


暖かすぎる残酷な朝日の元 君と共に


今はただ 静かにさよなら



いつか巡り逢う其の日まで 今はただ静かに さよならを




fin…