「夢の旋律」


光が揺れ動いて 時々白い影が浮かぶ
死んだ夢が 幻想色に混ざり込んで
哀しい詩を口ずさみながら 見守ってるよ
夢を 捨ててしまった人を

現実という名の 拷問部屋
苦痛の合間 合間に 
殺した夢が浮かんでは 消え

苦しさのためか 切なさのためか
傷の増える身体に 一粒の泪が落ちて
霞んだ瞳には 鉄の鎖が映り 
もう一粒だけ 哀れみの泪を
もう 夢に想いを馳せることすらできない
拘束された自分へ

縛られた心に 
夢達の紡ぐ 鎮魂歌(レクイエム)が聴こえる
死んだのは お前達のはずなのに
鎮魂歌は何故 お前達から響く?

夢が 哀しい旋律を口ずさんで
固い錠に 舞い降りる

錠が外れたのが 見えないか?

夢の紡ぐ詩が 聴こえる
優しい旋律を 呟くように歌う夢の声
いざな誘いを受ければ 錠を捨て去れば
死んだ夢が 蘇る

漂い続ける夢が 再び其の手の中で舞うだろう
冷たい錠に さよならをして
舞い歌う夢の旋律に 声を合わせて
歌いながら 一体何処までゆけるだろう?
何処までもゆける 何処までも

夢の果てに 何が残るのか 残らないのか
例え何も 残らなかったとしても
夢の旋律の果てに 其の手は永遠を掴むのだろう

何処までも ゆけばいい
鎮魂歌の 届かぬ地まで
もう 鎮魂歌はいらないから
優しい旋律を奏で 歩いてゆけるから

誰かに捧げられる旋律を奏でたい
夢の旋律が 自分にくれたモノを
今度は自分の旋律で 拘束されている誰かにあげられるよう

夢の旋律の果てに 愛しい誰かがいればいい
夢の旋律の果てに もし残るものが有るのなら
愛しい誰かへの 愛であればいい