「錘」



還りたくて けど其れはかなわなくて
狂い惜しい想いを 抱き切れず
渦巻き吼える 真っ黒でドロドロの水の中


いつか夢見た 二人の姿
僕らはあの日 現実のモノとしたね
けれどいつか恐れた 最悪の別れ
其れをも僕らは 今現実のモノとして


永遠の愛を叫んだ 其の口で今
永久の別れを告げる
僕を抱いた其の腕で 僕のこの手を払いのけ
あの日の貴女の姿は もう此処になく
僕の大好きな 美しい其の瞳は
立ち尽くす僕を ただ冷たく見つめて


幸せだったあの頃に 
還りたくて 寂しくて
僕らは 道を間違えたのかな
其れとも 僕だけが崖から落ちたの??
血塗れで転がる僕に 昔差し伸べられたハズの手は
今はもう なくて
血と涙の区別もつかぬ僕に 貴女は一つ足蹴をくれて
其のまま背を向けたなら 訪れたのは永久(とわ)の別れ


還りたくて けど其れはかなわなくて
狂い惜しい想いを 抱き切れず
渦巻き吼える 真っ黒でドロドロの水の中
寂しさの錘に 引きずられたまま浮くコトもできず
僕はもう 水底に置かれた棺桶の中